予防接種とは

予防接種のイメージ画像

当院では成人向けの予防接種として、主にインフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹のワクチン接種を行っております。上記以外のワクチン接種を希望される方はご相談ください。ワクチンは供給状況によって在庫に変動がありますので、接種をご希望される方はあらかじめご相談いただければ幸いです。

感染症の原因とされる各種の細菌やウイルスの病原性を弱めたり、また、それらを無毒化したりすることでつくられるのがワクチンです。これを体内に注入することで、抗体(病原体と結合し、それを体内から除去するように働くたんぱく分子)をつくらせます。これにより、当該感染症に罹りにくくするほか、万一罹った場合でも重症化するリスクを減らします。

いずれのワクチンも副反応があります。よく現れるものとしては注射部位の腫れと痛み、微熱等ですが、通常は1,2日程度で改善していきます。稀に強いアレルギー反応(アナフィラキシー様症状など)が起こります。アナフィラキシー様症状は30分以内に症状が出ることから、接種後30分が経過するまでは院内または近くの場所で安静にされることをお勧めします。

インフルエンザワクチン

インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症をインフルエンザと言います。このウイルスに感染すると潜伏期間(1~3日ほど)を経て発症し、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状のほか、普通の風邪と同じように、喉の痛み、鼻水、せきなどの症状も現れます。また小児では、痙攣や中耳炎のほか、急性脳症の症状がみられることもあります。このほか、高齢者や基礎疾患をもつ方は肺炎を併発するなど、重症化する可能性もあります。

このインフルエンザを予防するのに最も有効と考えられているのが流行前のインフルエンザワクチンの接種です。同ワクチンは接種してから効果が出るまでに約2週間かかりますが、その効果は約5ヵ月間持続します。日本の場合、例年12月~翌3月頃にインフルエンザが流行していますので、毎年12月中旬頃までに接種するようにしてください。ちなみに成人の場合は1回の接種で充分とされていますが、2回接種することで予防効果はさらに高まるといったことも報告されています。そのため受験生や仕事が多忙でどうしても罹ることができないという方であれば、2回の接種も選択肢となるかもしれません。なお1回目の接種から2回目を行う間隔ですが、4週間ほど開けて行うのが理想的です。

またインフルエンザウイルスは毎年少しずつ性質を変えて異なるタイプが流行しますので、それに対抗するためにも、予防接種は毎年行うようにしてください。

肺炎球菌ワクチン

細菌やウイルスなどの病原微生物が肺に感染して炎症を起こしている状態が肺炎です。免疫力が低下するなどして、感染力が防御力を上回っているようになると、病原微生物が肺にまで入り込んで感染し、肺炎を発症します。とくに高齢者や基礎疾患のある方に感染しやすく、治りにくいという特徴があります。

重症化することもある肺炎を予防するのに最も有効と考えられているのが肺炎球菌ワクチンの接種です。肺炎球菌とは、肺炎の原因菌の中で最も多い菌(大人の肺炎の20~40%は、この菌が原因)であり、この肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防するほか、重症化のリスクを減らすといった効果が期待できます。また、インフルエンザワクチンの接種を併せて行うと、肺炎予防の強化にもつながります。そのため、肺炎予防には、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種が推奨されています。

成人に接種可能な肺炎球菌ワクチンは3種類あります。高齢者の定期接種に使用する23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス®NP)と、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー13®)、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(バクニュバンス®)の3種類です。肺炎球菌は約100種類に分けられますが、このうち肺炎球菌感染症の原因になるものは約30種類です。このうちニューモバックス®NPは23種類に、プレベナー13®は13種類、バクニュバンス®は15種類に対して予防効果があります。ニューモバックス®NPは徐々にその効果は減弱しますが、プレベナー13®とバクニュバンス®は強力かつ長期間の免疫効果が得られ、1度の接種で終了となります。

ニューモバックス®NPの接種は高齢者(65歳以上、もしくは60歳から65歳未満で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方)を対象としており、接種の一部費用を公費で負担する定期接種となっております(1人1回のみ)。 プレベナー13®とバクニュバンス®は高齢者または肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる方を対象としており、自費での任意接種となっています。

ニューモバックス®NPは接種後5年以内に再接種を行うと、注射部位の痛みが強く出るケースがありますので、再接種を希望される方は、5年以上の間隔を空けてください。プレベナー13®とバクニュバンス®はブースター効果(体内で1度作られた免疫機能が、再度抗原に接触することによってさらに免疫機能が高まること)が期待でき、プレベナー13®あるいはバクニュバンス®を最初に接種し、その6ヶ月~4年以内にニューモバックス®NPを接種することで高い予防効果が期待できます。先にニューモバックス®NPを接種した場合は1年以上の間隔を開けプレベナー13®あるいはバクニュバンス®の接種することが推奨されます。

帯状疱疹ワクチン

多くの人が子どもの時に水ぼうそう(水痘)のウイルスに感染します。このウイルスは治った後も体内に潜み続け、日本人の90%以上にこのウイルスが潜伏しているとされます。加齢やストレスなどで体内の免疫力が低下した場合にこのウイルスが再び活動をはじめると帯状疱疹を発症します。症状としては体の一部の部位にピリピリとした皮膚の痛みが生じて、続いて赤い発疹が現れます。治療薬はありますが、発疹が治ったあとも痛みが残り続けることがあります。

帯状疱疹のワクチンには大きく分けて2種類があります。生ワクチンと不活化ワクチンです。 生ワクチンは弱毒化したウイルスそのものを接種するワクチンで接種回数は1回です。アメリカでは約51%の帯状疱疹予防効果があるとの報告がなされています。 不活化ワクチンはウイルスの一部を組み込んだワクチンです。接種回数は2週間隔で2回ですがいろいろな国で帯状疱疹を90%以上予防すると報告がされています。 予防の持続効果については現在も調査が行われています。

生ワクチンは10,000円程度なのに対して不活化ワクチンは2回接種の合計で40,000円台と高額です。

接種年齢は50歳以上が対象となります。過去に帯状疱疹になったことがある方でも再発する可能性があり、発症からお時間が経っているようであれば接種をご検討いただいても良いと思います。

院長
増谷 朋英
診療内容
糖尿病内科、内科、甲状腺内科
住所
〒386-0016長野県上田市国分一丁目1番1号
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