甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病)とは
甲状腺は、喉仏の少し下にある臓器で、蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺ホルモンという全身の新陳代謝を司る物質をつくっています。
甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの産生が低下し、新陳代謝が落ちてくることで、無気力、疲労感、寒がりなどの症状が出てきます。また、むくみや便秘の原因、さらには高コレステロール血症の原因となる場合もあります。いくつか原因がありますが、代表的なものは橋本病です。橋本病は、自己免疫が関わり慢性的な炎症が甲状腺で起こる病気で、女性に多く、治療を要さない潜在的なものも含めると女性の7-10人に1人は橋本病ともいわれています。また、妊娠中には甲状腺ホルモンの必要量が増加するとされ、注意が必要です。
甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの産生が増加し、新陳代謝が高まることで、動悸、息切れ、汗かき、暑がり、手の震え、体重減少などが起こります。人によっては眼球が突出するケースもあります。いくつか原因がありますが、代表的な原因はバセドウ病です。バセドウ病も自己免疫が関わっており、男女比は1:4程度で、女性の300-400人に1人程度がバセドウ病といわれています。
治療は、甲状腺機能低下症については甲状腺ホルモンの内服薬で治療をすることがほとんどです。甲状腺機能亢進症についても内服薬で治療を開始することが多いですが、一部の治療が難しい方では、高次医療機関での手術療法や放射線治療を勧めさせていただくケースもあります。
- 当院では、甲状腺腫瘍に対する針生検は実施しておりません。あらかじめご承知おきいただけますと幸いです。